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2007-07-23

【トルコ】イスラム保守政権継続、中道左派及ばず

22日に行われたトルコ大国民議会の総選挙(定数550、10%条項つき比例代表制)はエルドアン首相率いる穏健イスラム保守の公正発展党(AKPまたはAKparti…アク・パルティ)が事前の予想どおり過半数を大きく上回る議席を獲得し単独政権の継続を確実とした。ただし単独で憲法改正ができる3分の2には及ばなかった。
国父ケマル・アタチュルクが創設した中道左派・世俗派の共和人民党(CHP、社会主義インター加盟)は、もうひとつの中道左派政党・民主左翼党(DSP)と連携し新大統領選出に際して国論を二分した厳格な政教分離政策の継続を軸に訴えたが及ばなかった。いっぽう極右国粋主義・汎トルコ主義ながら世俗派を軸とする民族主義行動党(MHP)が議席を復活させたほか、東部イラク国境付近で少数派クルド人の無所属候補者の当選が目立った。保守系世俗派の民主党(DP、旧・正道党)は約5%に留まり議席を獲得できなかった。
公正発展党は順調な経済成長を背景に「穏健な保守政党」を訴えて保守系世俗派にも浸透したほか、少数派キリスト教徒であるアルメニア正教会の支持を得るなど超宗派性のアピールにも成功した。同党は議席は微減だったものの得票率は12%伸ばし半数に迫った。いっぽう共和人民党は得票率では民主左翼党との合計で前回並みにとどまった上、獲得議席は民族主義行動党に大きく奪われ後退する結果となった。クルド人中道左派政党の民主社会党(DTP、旧民主人民党。社会主義インター加盟)は10%条項の適用を避けるために候補者を無所属で立候補させ一定の成果を得た。だがクルド国家独立を掲げる極左テロ組織・クルド人民会議(旧クルド労働者党)は活動地域で他党候補者に殺害を示唆する脅迫状を送っており(実際には発生せず)、それを批判する声もトルコ国内には根強い。

選挙結果は次のとおり(後ろのカッコ内は議席増減と得票率)。
公正発展党(AKP)341(-22、46.6%)
共和人民党(CHP)111(-67、20.9%)
民族主義行動党(MHP)71(+71、14.3%)
無所属 27(大半はクルド人の民主社会党擁立候補、合計5.2%)
民主党 0(±0、5.4%)

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伝統政党が壊滅するすさまじい結果となった前回総選挙と比べると、今回はクルド系中道左派政党の選挙戦術変更もあって死票が13%に留まるなど「穏やかな」投票結果になったとは考えられます。しかし、それは10%阻止条項が有権者に無効票を投じないような、小選挙区制に近い投票行動を強いた結果とも考えられます。
トルコ選挙をみて難しいと思ったのは、ある意味で近代的中道左派といえる政教分離主義のケマリズムが「宗教」と対峙した点です。ケマリズムは政教分離主義と同時に民族主義的な側面もあり、それが「汎トルコ主義」に連なると同時にクルド人やアルメニア系(第一次世界大戦時のアルメニア人虐殺事件は国内では消し去られており、アルメニア正教会の公正発展党支持はケマリズムへの敵対心ゆえとも評価できると思います)といったトルコ国内のマイノリティを抑圧してきた側面もあります。過去、クルド系有権者はケマリズムへの対抗からイスラム政党に投票する場合が多かったとも言われます。また女性がイスラム風のスカーフをすることも特に教育現場ではタブー視されています。
つまり「汎トルコ・民族主義的政教分離」と「諸宗教諸宗派諸民族」の対立になってしまったわけです。ともにケマリズムを掲げる共和人民党と軍部の関係の強さといい(文民系中道左派と軍部の関係が強いのは世界的にみても異例です)、保守か進歩かといった私たちが持ちがちな現代的視点とは別に「文明の衝突」というべき現象が、トルコでは生じているのか、と…この問題は長期的、歴史的な時間軸の視野をもって考えるべきなのかもしれません。
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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