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2007-03-04

【インド】最大州ウッタルプラデシュ州議選が激化

この4月から5月にかけインド最大州、ウッタルプラデシュ州(UP州、人口1億7千万強、州都ラクナウ)の州議会議員選挙が行われる(定数403、小選挙区制)。投票の安全確保、治安部隊の移動などのため選挙は同一日ではなく、選挙区ごとに投票日を4月7日から5月8日までの7次に分けて行われ、開票は5月11日に一斉に行われる。

UP州では前回、02年選挙でムラヤム・シン・ヤダフ元州首相が率いる社会党(SP)が第1党となったものの第2党の大衆社会党(BSP、旧被差別民ダリットを主体とする政党。インド新仏教色がある)と第3党のインド人民党(BJP、ヒンズー右派)が提携してBSPの女性党首マヤワティ州首相を再登板させた。だが、この左右連立政権は翌03年に「タージ回廊」疑惑によって崩壊。BSPを切り崩した社会党を国民会議派やインド人民党分派も支援しヤダフ党首が州首相に返り咲いた経緯がある。
その後、ヤダフ州首相は04年の総選挙中には一時、連邦首相としても名前があがったが、ソニア・ガンジー総裁ひきいる中道伝統政党・国民会議派(INC)の予想外の躍進により中道・左派連立のマンモハン・シン政権が誕生。社会党もマンモハン・シン政権にしばらく閣外協力したものの国民会議派との関係が悪化し先月、連携の公式な解消に至った。おりしも同時期にBSPを割って社会党支持に移った州議会議員の一部が最高裁判所により「脱党防止法」違反で議員資格を喪失。そのため連邦政界では犬猿の仲にある国民会議派、インド人民党、BSPの3党が「ヤダフ州政権樹立は合法性を欠いていた」という理由でUP州議会では院内共闘、任期満了直前ながら州政権不信任の動きを見せたものの結局は27日に信任。だがBSPと国民会議派の州議会議員は抗議の辞任を表明、インド人民党議員も信任投票に退席するなど、州議選を直前にして大荒れの情勢となっている。
しかし社会党はUP州政権だけでなく連邦下院(545議席、うちUP州からは約15%の80議席を選出)でも42議席を握り第4党であるほか、デリー郊外やタージ・マハルのあるアーグラーから聖都ヴァラナシに至る「インドのなかのインド」というべき人口最多の同州の動きは過去に他州や中央政界にも波及しており、マンモハン・シン政権の先行きを占う中間選挙として重要な役割をもっている。
今回の州議会選挙は1億1千万人以上の有権者のため11万ヶ所の投票所が設けられる予定。

なお14日に投票が行われた3州議会選挙の開票が27日に行われ、穀倉地帯として知られる北西部パンジャブ州ではシーク教宗教政党「アカリ・ダル」とインド人民党の連合が、ヒマラヤ山麓のウッタラカンド州ではインド人民党がそれぞれ勝利して国民会議派から政権を奪取。他方でビルマ国境のマニプール州(大戦中に日英両軍の激戦地となったインパールが州都)では国民会議派が勢力を伸ばし単独政権樹立の方向と、結果が割れることとなった。

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ムラヤム・シン・ヤダフ州首相率いる社会党(SP)は戦中戦後に国民会議派の左派が結成した「会議派社会党」の流れをくむ「多国籍企業の活動に反対する民主社会主義政党」と自己定義し、中層農民およびOBC(中下層カースト)やイスラム教徒(ムスリム、ムサルマーン)から支持を受けつつヒンズー・イスラム両教徒の庶民レベルでの融和と生活の底上げを訴える政党で、90年代に連邦政権を樹立した中道左派ジャナタ・ダルから分岐した政党のひとつです。
同党の政権奪取後、UP州ではウルドゥー語(多数派のヒンディー語をイスラム教徒がアラビア文字で記すインド・ムスリムの言語。パキスタンの国語でもある)も州の公用語となりました。社会主義インターには加盟していませんが、国民会議派とヒンズー右派に断固たる姿勢を見せている点からもある意味、加盟政党であるジャナタ・ダル系の政党よりも民主社会主義色が強いといえます。もっともインドからは国民会議派が加盟してもおかしくないのですが。
また社会党はインド映画のハイパースター、アミタブ・バッチャン(ビッグB)と関係が強いことでも知られており(社会党ナンバー2のアマル・シン党書記長とビッグBが親友)、ビッグB夫人で女優のジャヤ・バッチャンは社会党の推挙で連邦上院議員(州議会による間接選挙)となっています。なおビッグBは本人の辞退宣言にもかかわらず今年、改選されるインド大統領(名誉職的な国家元首)の候補者にも名前があがっています。
いっぽうUP州政では旧被差別民を基盤とする大衆社会党(BSP)も勢力を有しており、そのマヤワティ党首(前州首相)は過去にはヤダフ州首相と選挙協力を組んだものの、現在は州首相を争う犬猿の仲となっています。これに連邦2大政党の国民会議派、インド人民党も絡んで「4つ巴」の大激戦が展開されそうです。
それにしても日本やロシアさえ上回る人口1億7千万! これを上回る独立国は世界に数ヶ国しかありません。まさに「世界最大の地方選挙」といって過言ではないでしょう…。
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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