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2014-11-04

【ルーマニア】大統領選第1回投票でポンタ首相が優勢

2日、ルーマニアで大統領選挙の第1回投票が行われた。その結果、社会民主党(社会主義インター・進歩同盟加盟政党)のポンタ首相が約4割の得票で首位に立ち、約3割の得票にとどまった保守系連合のヨハニス国民自由党党首(シビウ市長。同市は07年度欧州文化首都に選ばれた古都)とのあいだで決選投票が2週間後の16日に行われることとなった。

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大統領選で首位に立ったポンタ首相(右。社会民主党議長)。左はドラグネア社会民主党執行委員長

今回は現職で保守系のバセスク大統領は憲法の3選禁止規定のため出馬できず、代わってこれまでバセスク大統領と激しい政局争いを演じてきたポンタ首相(大統領は保守系、首相は2年前から社会民主党だったため「ねじれ現象」に近いコアビタシオン状況となっていたことになる)が事実上の現職として前政権の緊縮財政を批判、経済再建や雇用・年金・生活重視政策の継続を掲げて優位に選挙戦を運んだ。ルーマニア進歩のための国民同盟、保守党(ルーマニアの保守党…旧人道党…はむしろ民主社会主義右派に近いとされる)の2つの中小政党もポンタ首相を支援した。

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社会民主党から大統領候補に指名されるポンタ首相夫妻

しかしポンタ首相は政府の汚職体質や諜報機関および不正選挙疑惑などを他候補、および在外有権者から厳しく批判され、誹謗まで交えた論戦の激しい選挙となった。だがポンタ首相が政権を握る利を活かしたうえ、ヨハニス党首が昨年までドイツ系少数民族政党の党首だったことを取り上げて民族主義的な主張(ドイツ系のヨハニス党首はプロテスタントであることがルーマニア正教会信徒が多数を占めるルーマニアでは違和感を持って受け止められている)も展開、ヨハニス党首に差をつけた。決選投票でも、ほとんどの世論調査がポンタ首相の勝利を予測している。なお3位には党首まで務めた国民自由党を追われたポペスク=タリチェアヌ元首相(現上院議長)が入ったが、得票率は5%強にとどまった。その後、3%台の8位までまで6名がどんぐりの背比べのように並んだ。

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ヨハニス国民自由党党首の選挙看板

社会民主党はルーマニア革命でチャウシェスク政権を打倒した救国戦線の左派(イリエスク前大統領派)によって構成される政党だが、社会民主主義・民主社会主義を掲げるにもかかわらず(チャウシェスク政権後期は冷遇されたとはいえ)旧共産党幹部だったイリエスク氏の来歴に象徴されるように救国戦線が持ち合わせていた旧共産党的体質を強く残していることへの拒否感から、社会主義インターへの加盟を長く認められなかった経緯をもつ。しかし社会主義インターに加盟していた小政党のルーマニア社会民主党を01年に合併し、その後継政党ということで渋々ながら社会主義インターへの加盟を認められている。

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イリエスク前大統領(中央、現社会民主党名誉議長)。右は後に救国戦線右派になるロマン元首相(89年末のルーマニア革命時の写真で、この時点ではまだチャウシェスクは処刑されていない。肩書きは現在)

いっぽう保守陣営はミハイ元国王を大統領候補に擁立したこともある国民自由党、および救国戦線右派が源流の民主自由党が提携を組み、汎ヨーロッパ的な観点からもドイツ系のヨハニス国民自由党党首を都市リベラル的な中道右派統一候補として擁立したが、キリスト教民主国民農民党や少数民族政党のハンガリー民主同盟は加わらず、保守陣営全体の統一はとれなかった。さらに大ルーマニア党など極右勢力も別の候補を擁立した。特にマフィアやかつてチャウシェスク時代の孤児たち(秘密警察セクリタテアの人材源とされた)とのつながりもささやかれる大ルーマニア党は現在は退潮(今回選挙では3%台)とはいえかつて大統領選の決選投票に残ったこともあるなど侮れない勢力を持つうえ、左派が民族主義的なルーマニアではむしろ保守陣営より社会民主党に近いなど、特徴的な存在となっている。

ルーマニアは半大統領制を採用しており、内政を中心とする行政権は首相にあるが、大統領もその首相の任命権や外交安全保障などでの大きな権限を有しており、政局を左右する権能を有している。実際の権力分担はその時どきの時勢や政局に左右される部分があり、今回はポンタ首相優位に事態が運んでいる模様だ。

なお第1回投票の投票率は53%強にとどまり、有権者の政治離れがあらわになる結果となった。

社会民主党 公式サイト(ルーマニア語)
http://www.psd.ro/
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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