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2014-09-20

【英国】住民投票でスコットランド分離独立にノーの審判

18日、英国北部のカントリー・スコットランドで分離独立の是非を問う住民投票が実施された。そのゆくえは世界の注目を集めたが、結果として「イエス」45%弱、「ノー」55%強で分離独立は否決された。

今回の住民投票は内政においては民主社会主義的な福祉政策を掲げるスコットランド国民党(SNP)が前回のスコットランド議会(定数129、小選挙区連用式比例代表制)で単独過半数の議席を獲得し、サモンド行政府首相(First Minister)が他党の支援を受けない単独政権を樹立したことを背景に行われた。スコットランドの総人口は英国全体の8%強にすぎないが、それでも北海の対岸にあたるノルウェーの人口を上回る。そのノルウェーが北海油田の石油資源を背景に福祉社会を維持しているのと同様、スコットランドもカントリー内から伸びている北海油田からの収入を自身のものとすれば福祉国家を築けるというのが、SNPはじめスコットランド緑の党なども加わった「イエス」派の「イエス・スコットランド」の主張だった。またEUには引き続き加盟するとし、通貨についてはスターリング・ポンドを継続使用するとした。

サモンド・スコットランド首相
サモンド・スコットランド行政府首相(スコットランド国民党)

スコットランド独立派の草の根運動
独立派の草の根運動

これに対し分離独立反対・連合王国維持派の「一緒にベターを」(Better Together)はロンドンのウェストミンスター議会の3大政党であるキャメロン首相の保守党、ミリバンド党首の労働党(社会主義インター加盟・進歩同盟中核政党)、クレッグ副首相の自由民主党がそろって支援。政治家以外にも『ハリー・ポッター』で知られる児童文学作家のJ.K.ローリングや歌手のスーザン・ボイル、サッカーのデイヴィッド・ベッカム、理論物理学者のスティーブン・ホーキングらそうそうたる顔ぶれが分離独立反対を表明し、にもかかわらず世論調査では劣勢とみられていた「イエス」派が終盤に猛追し、一部調査では「ノー」派を上回るなど議論が白熱した。なお連合王国維持派は独立の場合「金融と財政が完全に分離されることはユーロ危機をみても危険」とスターリング・ポンドの使用を認めない姿勢を示し、逆に傲慢な姿勢だとスコットランド有権者の憤激を買う一幕もあった。なおスコットランドでは労働党が強いこともあり、独立反対運動は労働党が中軸となった。このため民主社会主義政策どうしの対決という側面もあった。

ノー派を率いるダーリング前財務相
「ノー」の連合王国維持派を率いてきたダーリング前財務相(労働党)

直前の世論調査からは賛否が非常に拮抗し、僅差となることが予想された。特に独立派陣営は戸別訪問など草の根運動を大々的に展開、運動量では連合王国維持派を上回っていたという。有権者登録率、85%以上にのぼった投票率も英国の投票としては異例なほど高いものとなり、ふだんの選挙以上に有権者の関心を集めた。
しかし開票が進み19日に入ると独立派の劣勢が次第に明らかになり、直前の予想に比べれば差が開くこととなった。今回の結果は、スコットランド有権者のあいだでも一挙に独立へ走ることには不安が大きかった証とみられている。しかし連合王国維持派やウェストミンスターの有力政治家は独立に反対する代わりに自治権の拡大などで対応することを重ねて発言せざるを得なくなっており、これが実施に移された場合、連合王国が名目上だけでなく、実質的にも連邦制に移行することもあり得る。今回の住民投票を通じて浮上した英国政治の法的、政治的、経済社会的矛盾をどのように解決していくか、また独立派にしても今後どういう妥協を示していくか、両陣営とも残された課題は大きいといえそうだ。
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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