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2014-05-27

【欧州議会】民主社会主義会派第2党に、極右および左右のEU懐疑派も躍進

22日から25日にかけてEUの下院に相当する「欧州議会」の選挙(定数751、比例代表制)が行われ、中選挙区移譲式比例代表制のため開票作業に時間がかかるアイルランドおよび北アイルランドを除き結果が確定した。ユーロ債務危機の後に行われた初の欧州議会選となったが、有権者の関心は高くなく、投票率は前回を辛うじて上回る43%強に留まった。この低投票率が投票意欲の高い極右や左右のEU懐疑派の躍進を招くこととなった。

ドイツ(定数96)ではメルケル首相が率いるキリスト教民主=社会同盟(CDU-CSU)が第1党となったものの、社会民主党(SPD、社会主義インター加盟・「進歩同盟」中核政党)も昨年の総選挙に比べて猛追する結果となった。また緑の党(Grüne)、左翼党(Linke)も議席を確保した。さらに昨年の連邦議会選挙で5%条項に迫った反ユーロ新党「ドイツのための選択肢」(AfD)が今回は低投票率に助けられて議席を確保した。今回から欧州議会選においては5%条項が廃止されたため、5%に達しなかった自由民主党(FDP)のほか、7つの小政党が1議席ずつを獲得した(そのなかにはネオナチ政党の国家民主党(NPD)、州議会で善戦してきた海賊党(Piraten)、バイエルンに基盤を持つ「自由な有権者」(FW)、念願の初議席となったドイツ家族党(FAMILIE)やエコロジー民主党(ÖDP)、「過激な緑」である「人間環境動物福祉」(TIERSCHUTZ)、ジョーク政党の「パルタイ」(政党、の意)が含まれる)。

フランス(定数74)では極右・国民戦線(FN)が前回の3議席から24議席に8倍増となって第1党となり、政界に激震が走った。これに次いで右派(保守)野党・民衆運動連合(UMP)となり、与党・社会党(PS、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)は3位に沈んだ。次いで中道リベラル派(UDIおよびMoDem)、緑の党(EELVほか)、左翼戦線(FG)など左翼諸党と続いた。

英国(定数73)ではEU脱退などを掲げるEU懐疑派の英国独立党(UKIP)が次々と議席を確保、第1党となり、これも激震が走った。次いで野党第1党・労働党(Lab、社会主義インター加盟・「進歩同盟」中核政党)となり、キャメロン首相率いる保守党(Cons.)は第3党に沈んだ。また連立第2与党・自由民主党(LD)はわずか1議席の獲得に終わった。他に緑の党、スコットランド国民党、プライド・カムリ(ウェールズ党)が議席を獲得した。なお北アイルランドの3議席は中選挙区移譲式比例代表制のため集計に時間がかかっており、現在も確定していない。

イタリア(定数73)では就任したばかりのレンツィ新首相率いる民主党(PD、「進歩同盟」中核政党)が順調に議席を伸ばし、4割を上回る31議席を獲得した。次いで反汚職新党でEUに懐疑的かつ直接民主主義や環境主義を掲げる「五つ星運動」(M5S)が第2党となり、ベルルスコーニ元首相が復活させた「フォルツァ・イタリア」(FI)は第3党に沈んだ。ほかに北部同盟(LN)、「左翼・環境・自由」(SEL)と再建共産党(PRC)などの左翼連合、与党第2党・新中道右派(NCD)などが議席を獲得した。このようにイタリアでは他国と異なり政権与党が信任される結果となり、レンツィ新首相に解散総選挙に打って出るべきだとする考えも出ている。

スペイン(定数54)では民衆党(PP)、社会労働者党(PSOE、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)の二大政党が議席を減らし、共産系の「統一左翼」(IU)およびラホイPP政権への青年層の抗議デモを基盤とする新興左翼のポデモス(PODEMOS、「我々はできる」の意)、環境政党や地域政党の連合が議席を伸ばすこととなった。同国では全体的に既成大政党の緊縮財政策への左翼からの批判が強かった。

ポーランド(定数51)では比例選挙区が細かかったこともあり大政党に有利な結果となり、中道右派の市民プラットフォーム(PO)と保守系の「法と正義」(PiS)の保守2大政党が議席を維持したが、なかでもPOが議席を減らし、PiSが議席を伸ばした。社会主義インターに加盟する「民主左翼連合=労働同盟」(SLD-UP)は一歩伸ばせず両党の後塵を拝した。いっぽう農民党は現議席を確保、さらにEU懐疑派の「新右派会議」が議席を獲得した。

ルーマニア(定数32)ではポンタ首相与党第1党で旧救国戦線左派系の社会民主党(PSD、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)系政党連合が半数の議席を獲得し悠々と勝利した。続いて下野したばかりの国民自由党(PLN)となり、旧救国戦線右派系の民主自由党(PDL)は第3党に沈んだ。極右・大ルーマニア党は議席を失った。

オランダ(定数26)では与党歴の長い(現在は野党)キリスト教民主アピール(CDA)が第1党となり、これに中道左派リベラルの民主66(D66)が続いた。躍進が予想された極右の「自由への党」(PVV)は第3党に留まり、現ルッテ首相与党の自由民主国民党(VVD、中道右派リベラル)および労働党(PvdA、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)はそれに続く位置に沈んだ。

ベルギー(定数21)では連邦議会選および地域議会選との同日選挙となったが、フラマン語圏の「新フラームス同盟」(N-VA)が第1党となり、続いてワロン系社会党(PS、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)が第2党となった。同国はフラマン語圏とワロン語圏で政党が別々になっていることもあり、政党と議席も細分化される結果になった。

チェコ(定数21)では与党第1党の社会民主党(ČSSD、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)が議席を減らし、与党第2党でリベラル派新党の「不満の市民行動」(ANO)と野党第1党の「伝統・責任・繁栄09」(TOP09)と並んだ。これに共産党(KSČM)とキリスト教民主主義の人民党(KDU-ČSL)が続いた。旧与党第1党が長かった市民民主党(ODS)はそれ以下に沈んだ。

ユーロ債務危機の震源地であるギリシャ(定数21)は激震が走る結果となった。反EUの急進左翼連合(SYRIZA)が第1党となり、与党第1党の新民主主義党(ND)を上回った。またその暴力性から極右勢力のなかでもつまはじきにされている「黄金の夜明け」(XA)がそれに続き、全ギリシャ社会主義運動(PASOK、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)は政党連合「オリーブの木」を結成したがXAをも下回り、共産党(KKE)や新興中道左派政党「河」(Potami、進歩同盟に近いスタンス)と並んだ。

ハンガリー(定数21)ではオルバン首相率いる「フィデス(青年民主同盟)」が先日の総選挙の勢いを持ち込み過半数を獲得した。社会党(MSzP、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)は2議席で極右ヨッビク(Jobbik)をも下回ったが、連携を組んでいるジュルチャーニ元首相の民主連合(DK)が2議席を獲得したため合計では辛うじてヨッビクを抑えた。

ポルトガル(定数21)では社会党(PS、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)が首位に立ち、コエーリョ首相率いる中道右派の社会民主党(PSD)を抑えた。ほかに共産党(PCP)と緑の党(PEV)の連合、中道右派環境政党などが議席を確保した。

スウェーデン(定数20)では野党第1党の社会民主労働党(SAP、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)がトップとなったが、ラインフェルト首相率いる中道右派与党連合4党の合計はSAPを上回った。また極右のスウェーデン民主党が初議席を獲得。環境党・緑、左翼党も議席を獲得したが、海賊党は議席を失った。

オーストリア(定数18)では国民党(ÖVP)、社会民主党(SPÖ、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)の2大政党が同等の議席を得たほか、極右の自由党(FPÖ)が2大政党に迫った。ほかに緑の党(Grüne)、新オーストリア(NEOS)が議席を得た。

ブルガリア(定数17)では野党第1党のブルガリア欧州発展のための市民(GERB)が議席を伸ばしたが、与党の「ブルガリアのための連合」(社会主義インター加盟政党のブルガリア社会党が中核)とトルコ系「権利と自由のための運動」(DPS)の合計はGERBを上回った。また極右のアタカは議席を失った。

フィンランド(定数13)では国民連合党(KOK)、中央党(KESK)、社会民主党(SDP、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)、EU懐疑派の「真のフィン人」(PS)などが議席を分け合った。

デンマーク(定数13)では極右のデンマーク国民党(DF)が第1党となり、女性のトーニングシュミット首相が率いる社会民主党(SD、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)を上回ったほか、各中小政党が議席を分け合った。

スロバキア(定数13)ではフィツオ首相率いる「スメル(方向)-社会民主主義」(Smer、社会主義インター加盟政党)が第1党となったが、先日の大統領選でのフィツオ首相の敗退を反映して中道右派野党連合の合計がスメルを上回った。また極右のスロバキア国民党(SNS)は議席を失った。

クロアチア(定数11)では野党第1党のクロアチア民主同盟(HDZ)が、ミラノヴィチ首相率いる与党第1党の社会民主党(社会主義インター加盟政党)を上回った。

アイルランド(定数11)はEU加盟国のなかでは唯一、全土で複雑な中選挙区移譲式比例代表制(STV)を採用しているため集計作業に時間を要し、結果が確定していない。ただし労働党(社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)が議席を失う可能性が指摘されている。

リトアニア(定数11)は票が分散する結果となり、祖国同盟、社会民主党(社会主義インター加盟政党)、自由運動、秩序と正義がそれぞれ2議席を分け合ったほか、3党が1議席ずつを獲得した。

ラトビア(定数8)は中道右派の「統一」が半数の議席を獲得した。社会主義インターや「進歩同盟」には加盟していないが欧州議会では社会主義会派に所属してきた社会民主党「調和」は1議席の獲得にとどまった。

スロベニア(定数8)は中道右派が5議席と過半数を獲得した。社会民主党(社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)は1議席にとどまった。

キプロス(定数6)は中道右派の民主集会(DISY)と共産系の勤労人民進歩党が各2議席、社会主義インター加盟政党の社会民主運動(EDEK)と「進歩同盟」加盟政党の民主党(DIKO)がそれぞれ1議席となった。

エストニア(定数6)は中道右派リベラルの改革党が2議席、社会民主党(社会主義インター加盟政党)など4党が各1議席と分散した。

ルクセンブルク(定数6)はユンケル前首相が欧州委員長候補となった勢いもありキリスト教社会人民党(CSV)が半数の3議席を獲得した。ほか現連立与党の社会労働者党(LSAP、社会主義インター・「進歩同盟」加盟政党)、民主党(DP)、緑の党が1議席ずつを獲得し、与野党の勢力は拮抗した。

マルタ(定数6)はムスカット首相の率いる労働党(社会主義インター加盟政党)が昨年の政権奪還の勢いから4議席を獲得、2議席にとどまった国民党を抑えた。

今後は極右勢力が「最低7ヶ国から25議席以上」の制限を越えて会派を形成できるかが注目される。すでに25議席はクリアしているものの、フランスの国民戦線はギリシャの「黄金の夜明け」など「差別的で暴力的な政党」との提携を拒否しており「7ヶ国」の用件をクリアできるかが問題だが、マリーヌ・ルペン国民戦線党首は楽観的な見通しを明らかにしている。また、それとは別にEU懐疑派の会派形成には問題がないとみられる。

国別の獲得議席は以下の通り。

【ドイツ】
キリスト教民主=社会同盟34、社会民主党27、緑の党11、左翼党7、ドイツのための選択肢7、自由民主党3、自由な有権者1、海賊党1、人間環境動物福祉1、国家民主党1、家族党1、エコロジー民主党1、「パルタイ」(政党)1

【フランス】
国民戦線24、民衆運動連合20、社会党(急進左翼党含む)13、リベラル派計7、環境派計6、左翼系計4

【英国】
英国独立党24、労働党20、保守党19、緑の党3、スコットランド国民党2、自由民主党1、プライド・カムリ1、未定(北アイルランド)3

【イタリア】
民主党31、五つ星運動17、フォルツァ・イタリア13、北部同盟5、キリスト教民主主義系3、左翼系3、南チロル人民党1

【スペイン】
民衆党16、社会労働者党14、統一左翼(共産系)6、ポデモス5、統一・進歩・民主(中道系)4、ヨーロッパのための連合(地域政党連合)3、市民性の党(中道左派リベラル)2、決定権の左翼(カタルーニャ)2、民衆の決定1、ヨーロッパの春1

【ポーランド】
市民プラットフォーム19、法と正義19、民主左翼連合=労働同盟5、新右派会議4、農民党4

【ルーマニア】
社会民主党系連合16、国民自由党6、民主自由党5、ハンガリー系民主同盟2、民衆運動党2、無所属1

【オランダ】
キリスト教民主アピール5、民主66 4、自由への党4、労働党3、自由民主国民党3、フルンリンクス(緑左翼)2、社会党2、キリスト教同盟・政治改革党2、動物のための党1

【ベルギー】
新フラームス同盟4、フラマン系自由党3、ワロン系社会党3、ワロン系自由党3、フラマン系キリスト教民主党2、フラマン系社会党1、フラマン系緑の党1、フラームス・ベランフ1、ワロン系緑の党1、ワロン系キリスト教民主党1、キリスト教社会党(ドイツ系)1

【チェコ】
ANO2011 4、伝統・責任・繁栄09 4、社会民主党4、共産党3、キリスト教民主・人民党3、市民民主党2、自由市民の党1

【ギリシャ】
急進左翼連合6、新民主主義党5、黄金の夜明け3、オリーブの木(全ギリシャ社会主義運動系)2、「河」2、共産党2、独立ギリシャ人1

【ハンガリー】
フィデス系連合12、ヨッビク3、社会党2、民主連合2、共に2014 1、新しい政治の形(緑の党系)1

【ポルトガル】
社会党8、社会民主党6、共産党3、地球党2、左翼ブロック1、民主社会中央・民衆党1

【スウェーデン】
社会民主労働党6、穏健党3、環境党・緑3、国民党・自由2、スウェーデン民主党2、中央党1、キリスト教民主党1、左翼党1、フェミニスト・イニシアティヴ1

【オーストリア】
国民党5、社会民主党5、自由党4、緑の党3、新オーストリア1

【ブルガリア】
ブルガリア欧州発展のための市民6、ブルガリアのための連合4、権利と自由のための運動4、検閲なきブルガリア2、改革ブロック1

【フィンランド】
国民連合党3、中央党3、真のフィン人2、社会民主党2、緑の連盟1、左翼連合1、スウェーデン人民党1

【デンマーク】
デンマーク国民党4、社会民主党3、自由党2、保守党1、急進自由党1、社会人民党1、反EU民衆運動1

【スロバキア】
スメル-社会民主主義4、キリスト教民主運動2、民主キリスト教同盟・民主党2、ハンガリー系共同党1、普通の人々1、ノヴァ1、架け橋1、自由と連帯1

【クロアチア】
クロアチア民主同盟4、社会民主党3、クロアチア権利党スタルチェヴィチ派1、持続的発展1、人民党1、農民党1

【アイルランド】(複雑な集計方法につき中途見通し)
フィン・ゲール(統一アイルランド党)4、シン・フェイン2、フィアンナ・フェイル(共和党)1、未定4

【リトアニア】
祖国同盟2、社会民主党2、自由運動2、秩序と正義2、労働党1、ポーランド系選挙行動1、農民緑同盟1

【ラトビア】
統一4、社会民主党「調和」1、統一ラトビア人権のために1、国民連合1、緑と農民同盟1

【スロベニア】
民主党3、新スロベニア・人民党2、社会民主党1、「信じる」1、年金民主党1

【キプロス】
民主集会2、勤労人民進歩党2、社会民主運動1、民主党1

【エストニア】
改革党2、祖国公共同盟1、社会民主党1、中央党1、無所属1

【ルクセンブルク】
キリスト教社会人民党3、社会労働者党1、民主党1、緑の党1

【マルタ】
労働党4、国民党2

グループ(会派)別の予想は次のとおり(カッコ内は選挙前比)。
欧州人民党(キリスト教民主主義・保守系) 211(-63)
社会主義・民主主義・進歩同盟 186(-7)
自由主義・民主主義同盟(リベラル・中道派) 58(-27)
緑・欧州自由同盟(環境・地域主義) 46(-12)
欧州統一左翼・北方緑の左翼 45(+10)
欧州保守改革グループ 44(-12)
自由と民主主義の欧州(EU懐疑派) 38(+5)
無会派(極右の多くはここに含まれる) 41
新党 79

社会主義・民主主義・進歩同盟 公式サイト(多言語)
http://www.socialistsanddemocrats.eu/
欧州社会党 公式サイト(多言語)
http://www.pes.eu/
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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