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2013-05-07

【マレーシア】総選挙で野党連合が過半数得票も獲得議席で及ばず

5日、マレーシアで下院(定数222、小選挙区制)の総選挙が行われた。マレーシア独立後初の政権交代がなるかが注目されたが、翌6日まで行われた開票結果では野党連合「人民協約」(PR、「人民同盟」「人民連盟」とも訳される)が総得票の過半数を得たものの、接戦となった小選挙区の多くで保守系与党連合「国民戦線」(BN)に敗れ、BNの中核である統一マレー国民機構(UMNO)のナジブ首相の続投を許すこととなった。今回の選挙結果を受けて翌6日、ナジブ首相は国王から首相として再任された(総選挙の結果により、議会の議決を待たず首相が任命される政治習慣は英国の影響を受けた議会政治システムを採用する国に多い)。

PRはマハティール元首相の下で一時その後継者と目されたものの、同元首相と対立した政争により政権から追放された(一時は「同性愛罪」などで起訴されたが、無罪判決を得た)アンワル元副首相が率いる中道リベラルの人民公正党(人民正義党とも。PKR)を軸に、社会主義インター加盟政党で中道左派系華人を主な票田とする民主行動党(DAP)、それにマレー系住民のイスラム右派で構成される全マレーシア・イスラム党(PAS)の3党で構成される。華人中心(ほかにマレー系、インド系も加わっている)の世俗派民主社会主義政党のDAPとイスラム原理主義色も漂うPASは水と油のような関係だが、PKRとアンワル元副首相のカリスマ性がその架け橋となっている。

いっぽうBNはマレー系住民の多数派・中道保守層を軸とするUMNOを中心に、マレーシア華人協会(MCA)、マレー・インド人会議(MIC)、与党リベラル派の人民運動党(グラカン)、サバ・サラワク両州(双方ともボルネオ島に位置し、マレーシア本土とは隔絶がある)の諸地域政党などで構成されている。再任されたナジブ首相はラザク第2代首相の長男としても知られ、これまで「調整型のリーダー」とされてきたが、2月にサバ州でフィリピン系イスラム武装勢力が上陸してきた際に軍や治安部隊を投入して掃討作戦を断行、指導者としてのイメージを変えて強い支持を得た。BNは今回総選挙では大胆な若手候補者の登用(このために公認漏れ現職の除名も辞さなかった)や貧困層などへの予算のバラマキなどによってUMNO自体に加え、特に発展途上地域であるサバ・サラワク両州を基盤とする地域諸政党の善戦が目立ち、BN全体の後退を食い止めてその勝利に貢献した。

BN政権はこれまで長年にわたりUMNOを中心にマレー系優遇政策(ブミプトラ政策)を採用してきたが、経済社会的に中間層の多くを占める華人系有権者の多くが同政策や政府の汚職体質への批判からPR、なかでもDAPへの支持に回り、DAPは野党第1党となった。いっぽう保守派の華人政党(その設立には中国国民党が強く関わったとされる)ながらUMNOと協力してBNの一員となり、ブミプトラ政策を支持してきたMCAは前回に引き続き大きく議席を失い、華人勢力の主導権を完全にDAPに奪われることとなった。これをナジブ首相は「華人の波」と評している。大都市圏よりも農村部や地方州に議席が重く配分される現行の小選挙区制に助けられてBNは過半数の議席を獲得したが、それでも野党の大躍進を許した前回総選挙よりさらに後退し、憲法改正ラインの3分の2を引き続き下回ったうえ、総得票数ではPRに後れをとる薄氷の結果となり、今後ナジブ首相への責任論が噴出する可能性もある。また公正選挙をめざす非政府組織(NGO)連合体の「ブルシ(清廉)」は選挙結果やメディア利用など選挙運動のあり方に疑義を表明したほか、アンワル元副首相も一部選挙区で不正があった疑いを指摘、両者とも選挙管理委員会批判を展開しているが、同時に野党支持者には冷静を保ち、安易な抗議活動を控えるようにも呼びかけた。選挙結果による民族対立の激化が国内保安法(ISA)の適用による弾圧を招く(この場合は1969年の「5月13日事件」の再現となりかねない)懸念からの発言とみられる。

なお同時にサラワク州を除く12州でも州議会議員選挙(総議席数505、小選挙区制)が実施され、クランタン州(PASとイスラム主義の地盤)、ペナン州(DAPと華人の地盤)、スランゴール州(連邦直轄地である首都クアラルンプールを囲む郊外州)の3州がPR州政権となった。しかし前回総選挙時に一挙に5州を野党州とした結果と比べ、ペラ州(DAPと華人の地盤だったが、前回選挙後に州与党の内紛に乗じBNに州政権を奪われていた)とクダ州(PKRなどが比較的強い)の2州を失い、トレンガヌ州(クランタン州と並ぶPASとイスラム主義の地盤)でも政権復帰を逃す結果となった。残り6州はパハン州、サバ州でPRが大幅に議席を伸ばしたものの、従来通りBN州政権の継続となった。

与野党の激突を反映して有権者の関心も高まり、投票率は約8割に至ったとも報じられている。

詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

●国民戦線(BN)133(-7)#得票率は47%弱
・統一マレー国民機構(UMNO) 88(+9)
・マレーシア華人協会(MCA) 7(-8)
・マレーシア・インド人会議(MIC)4(+1)
・マレーシア人民運動党(グラカン) 1(-1)
・サラワク州地域諸党4党 25(-5)
・サバ州地域諸党3党 8(-3)
●人民協約(PR)89(+7)#得票率は50%強
・民主行動党(DAP) 38 (+10)
・人民公正党(PKR) 30(-1)
・全マレーシア・イスラム党 21(-2)

民主行動党 公式サイト(英語・マレー語・中国語)
http://dapmalaysia.org/
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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