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2013-02-27

【イタリア】上下院総選挙で両院ねじれが出現

24・25日の両日、イタリアで上下両院の総選挙(下院・定数630、全国プレミアム付き比例代表制。上院・定数315、州別プレミアム付き比例代表制)が行われた。その結果、下院ではベルサーニ民主党(PD)書記長を先頭とする中道左派連合「イタリア共通善」が第1勢力に最低でも340議席が割り当てられるプレミアム規定に助けられて過半数を制したものの、上院ではベルルスコーニ前首相率いる「自由の人民」(PdL)などの中道右派連合が予想に反して多くの州で首位となり、また緊縮財政策を推進してきたモンティ現首相(辞任表明しているため暫定首相)が率いる新・中道派連合「イタリアのためモンティとともに」は両院で第4勢力に沈み、さらに現政権の緊縮財政策や既成政治家の汚職体質を鋭く批判するコメディアンのベッペ・グリッロ氏が率いる新党「五つ星運動」(M5S)が第3勢力に浮上、特に下院では単独政党としては最大得票となるなど、波乱の結果となった。

今回選挙前まではテクノクラート政権を率いるモンティ首相を支持してきた中道左派連合の優位が伝えられ、中道左派連合とモンティ陣営の連立による緊縮財政策の継続とそれによる欧州債務危機への対処を狙うシナリオが描かれていた。しかし、これに対してベルルスコーニ前首相の中道右派連合もバラマキ的な公約を乱発するなどして猛追に転じ、なかでも地方選が同時に行われた北部の中心・ロンバルディア州(州都ミラノ。イタリア全人口の6分の1を占める)で中道右派連合の一角である北部同盟(LN)を軸に攻勢をかけ、同州で第1勢力となるなどした結果、上院では中道左派連合の過半数獲得を阻むことに成功した。さらに「五つ星運動」もモンティ首相を「冷たい」と攻撃して大躍進に結びつけ、上院では中道右派連合および「五つ星運動」の反緊縮派が合計して過半数となった。全体としてモンティ首相が推進し、中道左派連合が労働組合の反発を抑えつつ支えてきた緊縮財政策に有権者から強い拒否反応が出た。ただし中道右派連合と「五つ星運動」は政治姿勢や多くの政策が異なり、連携は考えにくい。

イタリアでは憲法によって上下両院がほぼ対等の権限を有しており、上院が首相の信任不信任に関わることや、金銭関連法案などを否決することも可能。従って上下両院の勢力分布が異なる「ねじれ」状態になった場合は、即座に政権の不安定化に直結する。このため政局の行方については不透明感が増しており、欧州債務危機再燃への警戒感などから世界各国で株安に振れるなどの影響が出ている。今後は5月に任期切れを迎えるナポリターノ大統領の判断が注目され、すでに大連立の形成や上下両院の再解散総選挙、あるいは前例のない上院のみの解散選挙などの予想がささやかれている。

なおベルサーニ書記長が率いる民主党はユーロコミュニズムの代表格だった旧イタリア共産党の流れをくむ左翼民主主義者の多数派と旧キリスト教民主党勢力の左派が合流した政党で、現在は社会主義インターに加盟していないが、欧州議会では社会主義系会派・社会民主進歩同盟に加わるなど、密接な関係を保っている。ただ現在、イタリアからインターに直接加盟しているイタリア社会党は今回、中道左派連合に加わったものの、わすかな得票に留まり、上下両院とも議席は獲得できない見通し。

現在までのところ、最終的な議席配分は公式にはまだ発表されていない。

民主党 公式サイト(イタリア語)
http://www.partitodemocratico.it/
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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