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2012-09-13

【オランダ】下院総選挙で労働党が躍進

12日、オランダで第二院(下院、定数150・比例代表制)の解散にともなう繰上げ総選挙が行われ、中道右派リベラルの与党第1党・自由民主人民党(VVD、自由民主国民党と訳される場合もある)と野党第1党・労働党(PvdA、社会主義インター加盟政党)が議席を大幅に伸ばす結果となった。

今回の総選挙はVVDとキリスト教民主アピール(CDA、キリスト教民主主義)の中道右派2党への閣外協力をイスラム移民排斥を訴える極右・自由への党(PVV、自由党と訳されることが多い)が政策対立から解消し、VVD党首のルッテ首相が率いる保守連立政権が崩壊したことを受けて行われた。このため緊縮財政やEUへの対応が主な焦点となったが、EUに拒絶的なPVVはあらゆる事前予想を下回る惨敗となり、同じくEUに懐疑的な左翼の社会党(SP)も一部には第1党をうかがうとする躍進の予想もあったが、これに反して伸び悩んだ。またこれまで大政党の一角を占めてきたCDAや、環境左派のグリーンレフト(GL)も惨敗となった。中道左派リベラル・社会自由主義の民主66は親EU路線を掲げて伸ばした。

比例代表制を採用するオランダでは連立政権が組まれることが恒例となっているため連立をめぐるコンセンサス形成に関する習慣も発達しており、新政権樹立に際してはまず国王(ベアトリクス女王)がインフォルマトゥール(情報交換役、連立形成に関する政党間の枠組みを組閣前に事前調整する)を指名して組閣準備作業にあたり、その上でフォルマトゥール(内閣形成役、多くの場合そのまま首相となる)を指名して組閣にあたるという手順を踏む(ただし今回選挙からインフォルマトゥールの選任に第1党が大きく関与できる制度となった)。このため連立政権の成立までは政党間の細かい政策調整を積み重ねて数ヶ月がかかることもしばしばである。
今回の選挙結果からは、労働党を僅差で振り切って第1党となったVVDのルッテ首相が留任した上で労働党とのみ2党で連立を組む可能性(最小勝利連合)が報じられているが、両党は世俗主義的で寛容な社会政策では一致するものの、経済・財政・労働・福祉政策に隔たりがあるため、その他に両党の調整役として中間派の1党を加える「過大規模連合」が形成される可能性もある。その場合は与党経験の長いCDAか、もしくは世俗主義派ながら政策的にVVDと労働党の中間に位置するD66が加わるとみられるが、得票および議席が伸びた政党を有権者の支持が集まって勝利した政党とみなし与党に加える傾向が強いオランダでは後者、D66の連立入りに現実味がある。またここで積極財政や労働・福祉政策を重視する政策合意が成立する場合は、労働党のサムソン党首(「グリーンピース」の活動家としても知られる)に首相ポストが回ることも考えられる。ただしこれらの連立形成で合意ができなかった場合には労働党とCDA、社会党を軸とする左右の福祉派が連立する可能性や、VVDとPVV、CDAなどが提携を復活させる保守政権の可能性もわずかながら残るなど、様々なパターンの連立が考えられるものの、これらの多党連立(VVDと労働党が提携しない場合は最低でも4党の連立が必要となる)の場合は過去10年で5回も下院の総選挙が実施されたことに象徴される不安定な政局の継続につながるため、EUに距離をとる左右両翼が伸び悩んだ今回の選挙結果を「有権者はEU内におけるオランダの役割を重視する穏健な道を選んだ」と捉えた上で連立政権に参加する政党間の枠組みが判断される可能性が高い。

なおCDAはこれまで連立与党に参加することがほとんどで、戦後に下野したのは1994年から2002年までの第一次・第二次コック内閣(労働党首班政権。「赤」をシンボルカラーとする民主社会主義と「青」の自由主義(リベラル)の中間ということで「紫(パープル)連立」と呼ばれ、それぞれ4年・計8年続いた)のみだが、そのCDAが惨敗した今回の結果からみる限り「紫連立」が再現する可能性が高いことになる(ただし労働党首班でなくリベラル首班になる可能性が大きい)。

現時点での暫定的な選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

自由民主人民党(VVD) 41(+10)#中道右派自由主義、市場経済、緊縮財政
労働党(PvdA) 39(+9)#民主社会主義、積極財政・経済成長重視
自由への党(PVV) 15(-9)#移民排斥、EU反対
社会党(SP) 15(±0)#強硬派の社会主義、EU懐疑派
キリスト教民主アピール(CDA) 13(-8)#カトリック・プロテスタント連合
民主66(D66) 12(+2)#社会自由主義
キリスト教連合(CU) 5(±0)#プロテスタント。福祉面で左派、人権道徳面で保守
グリーンレフト(GL) 3(-7)#環境政党。かつての急進党、共産党などが合同
政治改革党(SGP) 3(+1)#聖書主義のプロテスタント右派政党
動物のための党(PvdD) 2(±0)#動物愛護政党
50プラス(50+) 2(+2)#年金受給者政党

労働党 公式サイト(オランダ語)
http://www.pvda.nl/
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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