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2011-06-07

【ペルー】大統領選決選で「反米左派」ウマラ氏勝利、ケイコ氏敗北

南米ペルーで5日、大統領選挙の決選投票が行われた。開票の結果「反米左派」とされる「民族主義党」のウマラ元中佐が、フジモリ元大統領の長女で右派のケイコ・フジモリ(藤森恵子)国会議員を僅差でかわし、勝利を確実にした。得票率は、開票率98%時点で、ウマラ元中佐51.6%、ケイコ国会議員 48.4%となっている。ウマラ元中佐は勝利を宣言、いっぽうケイコ国会議員は敗北を認めた。

4月10日に行われた大統領選挙の第1回投票では有力5氏により五つ巴の大激戦が展開されたが、中道右派のクチンスキ元首相、中道から中道左派の傾向を持つトレド元大統領、フジモリ派出身の保守だがやや穏健派のカスタニェダ前リマ市長の中道左右の各候補者が3位以下となり脱落。有力候補者のなかで最左派のウマラ元中佐と、最右派のケイコ国会議員による決選投票となっていた。両者とも貧困層に熱狂的な支持基盤を持つ、ペルーのエリート層、中産・エスタブリッシュメント層からは距離のある候補者で、決選投票の選挙戦は在任中の治安回復作戦を権力乱用や人権侵害・殺人に問われて収監中のフジモリ元大統領の評価や、ウマラ元中佐が同じ中南米の急進反米左派として知られるチャベス・ベネズエラ大統領との親交があること、またウマラ元中佐の過去の経済「国営化」志向などを論点とする激戦となった。いっぽう、ペルーのエリート層からは「どちらでも最悪」といった声も出ていた。
このため両候補とも中間派の取り込みを図るため路線を穏健・中道寄りに修正せざるを得ず、ウマラ元中佐は経済政策で「同じ左派でもべネスエラのような急進的な政策ではなく、ブラジルのルラおよびルセフ政権のような政策を採る」とし、またケイコ国会議員は「父であるフジモリ元大統領の恩赦はしない」と明言することを余儀なくされていた。経済政策面ではウマラ元中佐はペルー経済の成長を支える豊富な天然ガスなどの資源を「輸出でなく国内消費に回し、値下げを図る」などの政策を打ち出し、ケイコ国会議員は新自由主義的な発展策による経済の底上げやフジモリ元大統領時代のハイパーインフレ終息と救貧政策の両立を挙げて、両者とも貧困層へのアピールにも余念がなかった。世論調査での支持率も、ウマラ元中佐とケイコ国会議員で拮抗していた。

結果としてはペルー世論が分断されるなかでウマラ元中佐が僅差で勝利したものの、その主な支持基盤は農村やアンデス山岳部に偏り、首都リマなど都市部ではケイコ国会議員にリードを許した。また、3位以下の候補者をみても4位のトレド元大統領はウマラ元中佐を、3位のクチンスキ元首相と5位のカスタニェダ前リマ市長はケイコ国会議員を、それぞれ支持したものの、ウマラ元中佐とトレド元大統領のあいだには早くも距離が伝えられ、またケイコ国会議員陣営でもクチンスキ元首相を支持した政党の一部に造反がみられるなど、さまざまな動きが伝えられている。「国営化」を懸念する経済界もウマラ元中佐の勝利に拒否感を示しており、6日のペルー株式市場は株価急落により一時取引停止に追い込まれた。

なお4月10日に行われた国会議員選挙(定数130・非拘束名簿式比例代表制)の結果も、次のように確定している。

「勝つペルー」47(ウマラ元中佐の民族主義党を基軸に、社会党、共産党など左派政党連合)
フエルザ2011(2011勢力)37(ケイコ・フジモリ国会議員を支持する政治連合)
「可能なペルー」選挙同盟 21(トレド元大統領を支持する中道系政党連合)
大変革同盟 12(クチンスキ元首相を支持する中道右派政党連合)
国民連帯同盟 9(カスタニェダ前リマ市長を支持する政党連合で、旧フジモリ派の主流を引いている)
アメリカ革命人民同盟(アプラ党)4(社会主義インター加盟政党、ガルシア現大統領派)

国会の過半数を得た政党・勢力はなく、ウマラ派はトレド派と連携することでの政権運営を企図している。またこの選挙ではケイコ国会議員の弟、ケンジ・フジモリ氏も首都リマで圧倒的な得票を挙げて当選を果たし、主にリマの貧困層を基盤とするフジモリ派の支持の厚さをみせた。

また同じ4月10日に行われた国家間地域協力機関「アンデス共同体」議会のペルー選出議員選挙(選出数5、比例代表制)の結果は次の通り。

「勝つペルー」2
フエルザ2011 1
「可能なペルー」選挙連合 1
大変革同盟 1

=============
ペルーについては、今回大統領選挙では自前の候補者を擁立しなかったガルシア現大統領(まだ現職)の「アメリカ革命人民同盟(APRA、アプラ党としても知られる)」が社会主義インターの加盟政党なのですが、ケイコ氏の父・フジモリ氏が大統領になる前から、その「ポピュリズム・大衆迎合」的な傾向や、ペルーの寡頭支配層との談合がささやかれたりもしていました。今回も、アプラ党はそんな振る舞いをしたかのように感じます(大統領選挙では第1回投票では中道右派のクチンスキ元首相と組んでいたとのこと)。ガルシア政権は「死刑復活」を公言したりしていましたしね。

ペルーでは、80年代後半にはそんな(第一次)ガルシア政権の経済無策ぶりや極左毛沢東主義武装組織「センデロ・ルミノソ」などによるテロリズムの横行ぶりへの批判から、続けてフジモリ氏に支持が集まった面がありました。実際、ペルーの民主社会主義を掲げるグループや一部知識人には、決して大勢ではないものの、封建的な寡頭・エリート層、エスタブリッシュメント層が支配するペルーの構造改革を期待して、フジモリ支持に回ったグループもあったと聞いています。今回、そんな動きから都市部貧困層のあいだでカリスマ的支持を誇ったケイコ氏に流れたグループがいても、そう不思議はありません(特に情報をキャッチしてはいませんが)。

さて、ウマラ次期大統領がそんなペルーの構造改革を成し遂げられますかどうか。注目点です。
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プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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