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2014-09-23

【カナダ】ニューブランズウィック州議選で自由党勝利、新民主党善戦も議席獲得に及ばず

22日、カナダ東方の大西洋岸にあるニューブランズウィック州(英仏両語を公用語とするカナダ唯一の州)で州議会議員選挙(定数49、小選挙区制)が行われた。その結果、オルワード州首相率いる州与党・進歩保守党からギャラント党首率いる野党第1党・自由協会(同州自由党の正式名称)が政権を奪還した。新民主党(社会主義インター加盟政党)は前回から3%近くの得票増を果たし13%を得票したが、小選挙区制の特性により阻まれゼロ議席に終わった。他方で7%に迫った緑の党が1議席を獲得した。

New Brunswick Liberal Association
ギャラント自由協会党首(次期州首相)

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選挙運動中のオルワード州首相

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カーディ新民主党党首

ニューブランズウィック州進歩保守党は連邦レベルのカナダ保守党とは独立した組織だが、内部には連邦レベル保守党の支持者が多い。しかし保守政党としては進歩的な政策を掲げ、英連邦諸国でいわゆる「保守リベラル」「保守ハト派」に相当する「レッド・トーリー」とみなされているのが特徴である。
いっぽう自由協会は公式には別とはいえ事実上、連邦レベル自由党の州組織として機能している。
新民主党の場合は公式にも連邦レベル新民主党の支部組織。

詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。#前回は定数55で、定数6減。

自由協会 27(+14)
進歩保守党 21(-20)
緑の党 1(+1)

ニューブランズウィック新民主党 公式サイト(英語・フランス語)
http://www.nbndp.ca/
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2014-09-23

【アフガニスタン】ガニ元財務相が大統領に当選

ガニ元財務相とアブドラ元外相のあいだで6月に行われた大統領選挙決選投票の結果をめぐって揉めていたアフガニスタンで21日、選挙管理委員会はガニ元財務相の勝利を認定した。
決選投票をめぐってはアブドラ陣営はガニ陣営の組織的不正を指摘し、大統領不在の状況が続いていた。しかしこれを受けてタリバンが攻勢を強め、アフガニスタンの民主主義は危機に立たされていた。実際にはアブドラ元外相が新設の「行政長官」への就任に合意することで挙国一致体制ができたことに基づく政治的解決とみられ、両陣営の得票数・得票率は発表されなかったとする報道もある。なおガニ陣営がアフガニスタン社会民主党(明確に「社会民主主義」を掲げるがパシュトゥン民族主義も強いため社会主義インターには非加盟)などの支援を受けパシュトゥン民族主義および世俗中道色が強かったのに対し、アブドラ元外相はキリスト教民主主義のイスラム版として「イスラム民主主義」を掲げ、中道右派色があった。

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左からガニ元財務相、アハディ社会民主党党首、アブドラ元外相。

今後は新設の「行政長官」ポストをロヤ・ジルガ(国民大会議。憲法改正には必要)での審議を経て、首相に格上げするとみられる。その場合、アフガニスタンは大統領制から半大統領制もしくは議院内閣制の国に移ることになり、大統領権限と首相権限の綱引きでまたひと悶着起きる可能性もある。

アフガニスタン社会民主党 公式サイト(たぶんパシュトゥン語)
http://www.afghanmillat.org/
2014-09-21

【ニュージーランド】総選挙で保守過半数、労働党及ばず

20日、ニュージーランドで総選挙(基本定数120、小選挙区併用型比例代表制)が行われた。その結果、キー首相率いる保守系の国民党が議席を微増させた結果として過半数の議席を獲得。キー首相は3期目の政権を確実にし、いっぽう野党第1党の労働党(社会主義インター加盟政党)は大きく遅れをとり及ばなかった。
キー国民党政権は好調な経済を背景に赤字財政の解消・財政均衡化を進めた。特にニュージーランドの主産業である酪農製品のひとつ、粉ミルクの対中輸出が好調で、国民党は保守政党ながら中国寄り姿勢を強めるとの観測もある。

キー首相の看板
キー首相(国民党)の選挙看板

いっぽう労働党は昨年、新たに就任したカンリフ党首を先頭に議席増、緑の党との連立政権樹立を望んでいたが、世論調査ではキー国民党政権の勢いの前に及ばないことがほぼ確実となっていた。実際、得票・議席とも約4分の1にとどまった。特に大政党として小選挙区では国民党と拮抗したが、比例で大差がつき、現在の比例代表制が導入されてからは最低の数字となった(ただし野党第1党としては国民党が今回の労働党より少なくなったことがあり、最低の数字ではない)。

カンリフ労働党党首
カンリフ労働党党首

他に緑の党が約1割で第3党となり、続いてナショナル・ポピュリストだが国民・労働両党と連立を組んだことのあるニュージーランド・ファースト党が第4党となった。残る政党は5%阻止条項を突破できなかったが、先住民を代表するマオリ党、経済右派の消費者・納税者協会(ACT)、中道の統一未来党が小選挙区で議席を獲得した。右派の保守党は5%にわずかに及ばず、小選挙区でも議席を獲得できなかったため議会入りはならなかった。先住民左派のマナ運動も今回はインターネット党(海賊党のニュージーランド版)と組んで出馬したものの小選挙区で敗退し比例でも及ばず前回維持した議席を失った。左派の「同盟」は比例出馬さえできなかった。投票率は76%を超えた。なお1議席の超過議席が生じ、今回の当選者は121名となった。

今回の結果、キー首相による国民党の単独過半数を背景とした安定政権が樹立されることになる。ひとつの政党が過半数を獲得するのは93年に現在の比例代表制が導入されて以来では初めてのことで、キー国民党政権の勢いを示すこととなった。ただしキー首相はわずか1議席の過半数であることに鑑み、より安定した政権運営のため、3つの少数政党からも2期目の政権に引き続いて協力を求める方向。

詳しい選挙結果は次のとおり(暫定結果。カッコ内は前回比)

国民党 61(+2)
労働党 32(-2)
緑の党 13(-1)
ニュージーランド・ファースト党 11(+3)
マオリ党 2(-1)
消費者納税者協会 1(±0)
統一未来党 1(±0)

ニュージーランド労働党 公式サイト(英語)
http://www.labour.org.nz/

(10月6日追記)選管からの公式結果が発表され、国民党は1議席を減らし過半数割れする結果となった。その1議席は緑の党に回り、同党は増減無しとなった。ただ国民党は3つの少数政党から支援を受ける方向であるため、大勢に影響はない。
2014-09-20

【英国】住民投票でスコットランド分離独立にノーの審判

18日、英国北部のカントリー・スコットランドで分離独立の是非を問う住民投票が実施された。そのゆくえは世界の注目を集めたが、結果として「イエス」45%弱、「ノー」55%強で分離独立は否決された。

今回の住民投票は内政においては民主社会主義的な福祉政策を掲げるスコットランド国民党(SNP)が前回のスコットランド議会(定数129、小選挙区連用式比例代表制)で単独過半数の議席を獲得し、サモンド行政府首相(First Minister)が他党の支援を受けない単独政権を樹立したことを背景に行われた。スコットランドの総人口は英国全体の8%強にすぎないが、それでも北海の対岸にあたるノルウェーの人口を上回る。そのノルウェーが北海油田の石油資源を背景に福祉社会を維持しているのと同様、スコットランドもカントリー内から伸びている北海油田からの収入を自身のものとすれば福祉国家を築けるというのが、SNPはじめスコットランド緑の党なども加わった「イエス」派の「イエス・スコットランド」の主張だった。またEUには引き続き加盟するとし、通貨についてはスターリング・ポンドを継続使用するとした。

サモンド・スコットランド首相
サモンド・スコットランド行政府首相(スコットランド国民党)

スコットランド独立派の草の根運動
独立派の草の根運動

これに対し分離独立反対・連合王国維持派の「一緒にベターを」(Better Together)はロンドンのウェストミンスター議会の3大政党であるキャメロン首相の保守党、ミリバンド党首の労働党(社会主義インター加盟・進歩同盟中核政党)、クレッグ副首相の自由民主党がそろって支援。政治家以外にも『ハリー・ポッター』で知られる児童文学作家のJ.K.ローリングや歌手のスーザン・ボイル、サッカーのデイヴィッド・ベッカム、理論物理学者のスティーブン・ホーキングらそうそうたる顔ぶれが分離独立反対を表明し、にもかかわらず世論調査では劣勢とみられていた「イエス」派が終盤に猛追し、一部調査では「ノー」派を上回るなど議論が白熱した。なお連合王国維持派は独立の場合「金融と財政が完全に分離されることはユーロ危機をみても危険」とスターリング・ポンドの使用を認めない姿勢を示し、逆に傲慢な姿勢だとスコットランド有権者の憤激を買う一幕もあった。なおスコットランドでは労働党が強いこともあり、独立反対運動は労働党が中軸となった。このため民主社会主義政策どうしの対決という側面もあった。

ノー派を率いるダーリング前財務相
「ノー」の連合王国維持派を率いてきたダーリング前財務相(労働党)

直前の世論調査からは賛否が非常に拮抗し、僅差となることが予想された。特に独立派陣営は戸別訪問など草の根運動を大々的に展開、運動量では連合王国維持派を上回っていたという。有権者登録率、85%以上にのぼった投票率も英国の投票としては異例なほど高いものとなり、ふだんの選挙以上に有権者の関心を集めた。
しかし開票が進み19日に入ると独立派の劣勢が次第に明らかになり、直前の予想に比べれば差が開くこととなった。今回の結果は、スコットランド有権者のあいだでも一挙に独立へ走ることには不安が大きかった証とみられている。しかし連合王国維持派やウェストミンスターの有力政治家は独立に反対する代わりに自治権の拡大などで対応することを重ねて発言せざるを得なくなっており、これが実施に移された場合、連合王国が名目上だけでなく、実質的にも連邦制に移行することもあり得る。今回の住民投票を通じて浮上した英国政治の法的、政治的、経済社会的矛盾をどのように解決していくか、また独立派にしても今後どういう妥協を示していくか、両陣営とも残された課題は大きいといえそうだ。
2014-09-19

【フィジー】総選挙で民政復帰も軍政首相残留へ

2006年のクーデターでバイニマラマ海軍代将が政権を握って以降、軍事政権が続き、豪州やニュージーランド、近隣諸国との関係が悪化していたフィジーで昨年、新憲法が公布されたことに基づき、延期を重ねられていた総選挙がクーデター後8年目にしてようやく実施された。新議会は一院制(これまでは複雑なフィジーの部族社会や与野党党首の推薦による英連邦的な方式を反映して上院があったが、廃止された)で、定数は50に減らされるいっぽう、初めて比例代表制(非拘束、5%阻止条項つき)が導入された。これはこれまでのフィジー政治の悪弊の元凶だった「民族別議席割り当て」(フィジーは伝統的先住民のほか、英国統治時代に移民したインド系住民が多く、後者の人口増が伝統的先住民に脅威と映り、その対立が度々の政治対立を引き起こしてきた)の廃止を意味し「1人1票」の民主主義の基本に立ち返ったことを意味する。

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バイニマラマ首相(海軍代将)

選挙結果は事実上、クーデター以降ずっと軍事政権の首相であったバイニマラマ代将が率いるフィジーファースト党(FFP)が約6割の得票で第1党となり、これにバイニマラマ代将との対立の結果06年のクーデターで追放されたガラセ前首相の流れを汲む社会民主自由党(SDL)が続いた。ほかにインド系の支持者が多い国民連邦党(NFP)が5%条項を突破した。インド系労働運動活動家を党首とする人民民主党(PDP)、かつてインド系初となったチョードリー首相を誕生させたものの先住民急進右派の反発によって政権を追われ、その後にガラセ前首相の急進右派への懐柔策を批判する立場から06年クーデターを支持したため社会主義インターを追放されたフィジー労働党(FLP)は5%条項に及ばなかった。
この結果、フィジーファースト党が政権に就き、バイニマラマ首相が続投することになるとみられる。同党は伝統的先住民主体ながらフィジー労働党の元上院議員などインド系住民も加え、超民族性と国民融和をアピールした。いっぽう社会民主自由党は党名からは進歩的な政党にみえるが、実際はガラセ前首相が首相時代に自らの支持基盤として結成した保守政党「ソコソコ・ドゥアヴァタ・ニ・ルウェニヴァヌア」(統一フィジー党と訳される)の「SDL」の略称を引き継いだだけの伝統的先住民優位を強調する保守政党である。

バイニマラマ首相はこれまで諸外国から民主化の遅れを批判されてきたが、その手腕がなければ複雑なフィジー社会において伝統的先住民とインド系住民の対立を双方が納得する形で克服する国民融和ができなかったことも否めない。ただ現時点では伝統的先住民穏健派のバイニマラマ首相が強力な主導権を握りインド系有力者を一本釣りする形での危うい融和に拠っているとみることもでき、伝統的先住民系保守派である社会民主自由党の善戦もあって、危うい状況が潜在化した先送りされただけに過ぎないともいえる。今後はバイニマラマ政権自身によってフィジーとの関係が悪化した周辺諸国が今回の選挙を民政移管とみるか軍政の実質継続と批判するかが注目されるが、あまりに批判を続けるとバイニマラマ政権はこれまでインド系経済界との関係確立の以外にも中国の経済援助を激増させて対抗してきた経緯もあり、孤立化は周辺諸国にとっても好ましくない。また今後は今回、議席を獲得できなかった労働運動系政党の再興も望まれる。南太平洋の島国は今後も先住民の伝統社会とインド系による移民社会のあいだの荒波に洗われ続けるといえそうだ。
2014-09-17

【ロシア】地方選の低投票率を「公正ロシア」が批判

14日、ロシアのかなりの自治体で統一した地方選挙が行われた。その結果、プーチン政権を支える与党・統一ロシアが各地で順当に勝利を収めた。特にロシアが「併合」したクリミア共和国の結果が注目されたが、統一ロシアの圧勝に終わり、共産党など野党は及ばなかった。クリミアではウクライナの統治下にあった前回選挙では当時ウクライナの親ロシア与党だった「地域党」が勝利しており、その議員が統一ロシアに横滑りで編入・入党したことになる。
いっぽう公正ロシア(社会主義インターナショナル・進歩同盟加盟政党)は各地の地方選挙の低投票率を取り上げて批判。有権者が外出して不在になりがちな期日を選挙管理委員会が設定したと、暗に統一ロシアを批判した。また同党は各地の選挙で立会人が次々と不当に排除されたと主張するなど、不正選挙をにおわせる広報もしている。

公正ロシア首脳、2014年9月
地方選挙の低投票率を批判する公正ロシア首脳(左がレビチェフ国家ドゥーマ(下院)副議長、右がミロノフ党首)

公正ロシアはクリミア問題や東部ウクライナ(ドネツク・ルガンスク両州)の問題ではプーチン政権の立場を支持し、ドネツク・ルガンスク救援キャンペーンを展開、同党独自でも食料などの「人道支援」を両州に送る活動なども実施しているが、ウクライナ危機以降ロシア国内で高まるプーチン支持熱に、内政においては押され気味になっており、守勢に立たされている。今回の選挙結果批判も、そうした愛国主義の高まりのなかでプーチン政権を正面から批判しきれない同党の焦りが出ているともいえそうだ。

公正ロシア 公式サイト(ロシア語)
http://www.spravedlivo.ru/
2014-09-15

【ドイツ】旧東独2州議選でともに左派連立も

14日、ドイツ東部・旧東独の2州、ブランデンブルク州とチューリンゲン州で州議会議員選挙(ともに基本定数88、小選挙区併用型比例代表制)が行われた。

旧東独中東部で首都ベルリン(ここも州扱い)を四方から囲むブランデンブルク州(州都ポツダム)では、事前予想通り社会民主党(SPD、社会主義インター加盟・進歩同盟中核政党)が第1党となり順当に勝利を収めた。第2党には保守のキリスト教民主同盟(CDU)、第3党には与党第2党となっている左翼党(LINKE)が入ったが、左翼党は大きく議席を減らした。また反オイロ(ユーロ)保守新党「ドイツのための選択肢」(AfD)が先日のザクセン州に続けて州議会入りを決め、緑の党(Grüne、正式には「同盟90・緑の党」)もギリギリ議会入りを果たした。さらに地域政党「ブランデンブルク統一市民運動・自由な有権者」(BVB/FW。バイエルン州の「自由な有権者」と同系)が小選挙区で1議席を獲得、選挙法の規定により比例議席も配分され、州議会初進出を果たした。いっぽう自由民主党(FDP)は退潮が止まらず、先日のザクセン州議選に続いて5%条項を割り込み小選挙区でも議席を確保できず全議席を失った。極右ネオナチの国家民主党(NPD)、海賊党は2%前後で議席獲得に及ばなかった。AfDの大躍進は、政策的にはFDPから、抗議票としての意味あいは左翼党から、それぞれ得票を奪ったためとみられる。
今後はSPDのウォイトゥケ州首相が続投するとみられるが、左翼党との左派連立継続か、CDUとの大連立へのスイッチかを選ぶこととなる。連邦レベルでは外交安全保障政策での他党とのあまりの隔たりによって連立交渉から排除されている左翼党だが、州レベルでは同州じたいのように政権参加の実績もあり、連立の枠組みは現状維持でよいと同時に左翼党以上に非妥協的なAfDの州議会入りもあって現実味の最も大きい選択肢とみられる。

ウォイトゥケ・ブランデンブルク州首相(2014)
ウォイトゥケ・ブランデンブルク州首相(SPD)

また旧東独南西部のチューリンゲン州(州都エアフルト(エルフルト))の州議会議員選挙では、保守・CDUが第1党となったものの各党の勢力が拮抗し、連立のゆくえは不透明なものとなっている。
第2党となったのは左翼党(LINKE)で、前回より票を微増させた。また第3党にはCDUと大連立を組んできたSPDが大きく減票しながらも入り、僅差の第4党には反オイロ保守新党・AfDがここでも入った。第5党には緑の党がギリギリ食い込んだ。FDPは同州でも5%条項を大きく割り込み全議席を失い、極右ネオナチのNPDにも及ばない惨敗ぶりだった。
今後の連立のゆくえだが、まずリーベルクネヒト州首相(CDU)率いるCDUとSPDの大連立継続がもっとも有力とみられる。しかし大連立の場合もわずかに過半数(46議席)に達するのみであるうえ、さらに左翼党、SPD、緑の党の合計でも同じくわずかに過半数に達している(46議席)ため、ブランデンブルク州同様の左派連立の可能性も捨てきれず、その決定権はキャスティングヴォートを握るSPDの手にゆだねられることになる。また後者の左派連立の場合、ドイツ再統一後初めて左翼党出身となるラメロウ州首相の誕生が有力視されるが、旧東独の独裁支配政党・社会主義統一党(SED)のイメージを再統一後20年以上経過してもなお引きずる同党へのアレルギーも根強く残っている(ラメロウ州首相候補も旧東独時代後期から企業管理職だったこともあって連邦憲法擁護庁の監視対象下に置かれていたことが判明しており、ラメロウ氏側もこれに対して法廷闘争を繰り広げてきた)ため各方面からの抵抗も大いに予想され、SPDに州首相ポストを譲るなどの展開もあり得る。実際に世論調査でも左翼党のラメロウ州首相候補とSPDのタウベルト州首相候補への支持は拮抗しており、リーベルクネヒト州首相と世論調査上は三つ巴となっている。いずれにせよAfDの連立入りはブランデンブルク州と同様、まったく考慮されていない。

タウベルト・チューリンゲン州首相候補(2014)
タウベルトSPDチューリンゲン州首相候補

2州議会議員選挙の詳しい結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

●ブランデンブルク州(定数88)
社会民主党 30(-1)
キリスト教民主同盟 21(+2)
左翼党 17(-9)
ドイツのための選択肢 11(新党)
同盟90・緑の党 6(+1)
ブランデンブルク統一市民運動・自由な有権者 3(初進出)

●チューリンゲン州(超過議席発生につき合計91議席)
キリスト教民主同盟 34(+4)
左翼党 28(+1)
社会民主党 12(-6)
ドイツのための選択肢 11(新党)
同盟90・緑の党 6(±0)

ドイツ社会民主党ブランデンブルク 公式サイト
http://www.spd-brandenburg.de/
ドイツ社会民主党チューリンゲン 公式サイト
http://www.spd-thueringen.de/
2014-09-15

【スウェーデン】総選挙で社民党8年ぶり政権復帰、極右も急伸

14日、スウェーデンで国会(リクスターグ。一院制議会)総選挙(定数349、比例代表制)が行われた。その結果、社会民主労働者党(SAP、社会主義インター・進歩同盟加盟政党。以下「社民党」と表記)をはじめとする中道・左派3党が158議席を獲得、ラインフェルト首相率いる中道右派連立与党合計の142議席を上回り、政権交代を確実にした。同首相はこの結果を受けて辞意を表明し、社民党のロベーン党首が新首相となる見通し。いっぽう極右で(特に)イスラム移民排斥を掲げるスウェーデン民主党が倍増以上となる49議席を獲得して第4党以下に大差をつける第3党に躍進、有権者の移民問題に対する苛立ちが示される結果ともなった。

ロベーンSAP党首
ロベーン社民党党首(次期首相)

穏健統一党(保守党)のラインフェルト首相率いる中道右派4党はこれまで主に減税による経済の成長および活性化と「中福祉・中負担」路線を掲げてきたが、社民党はこれまでの減税策による赤字財政の拡大を鋭く非難して増税を通じた均衡財政の実現による解決を正面から掲げ、また党首も前回、女性党首として惨敗したサーリン元党首に代えて元溶接工で庶民派のイメージが強いロベーン新党首(これまで非議員で、金属産別労組トップからいきなり社民党党首となった。このため社民党は国会に党首を擁していない状態だった)の下で教育はじめ「格差社会」の拡大や失業率の増加、福祉・教育の民間委託による水準低下を鋭く批判、ラインフェルト政権与党側も小幅増税に言及せざるを得なくなるなど追い込まれていた。その社民党を中心とする中道・左派3党の勝利によって「大きな政府」的な「高福祉・高負担」への復帰が図られるが、社民党とまず連立を組むとみられる環境党・緑(緑の党)は原子力発電所2基の閉鎖を要求しており、困難な連立交渉が予想される。
またスウェーデン民主党躍進のため中道・左派3党は過半数に及ばず、中道右派4党のうち農民政党として原子力発電所も含めた環境問題に熱心な中央党や福祉問題に熱心なキリスト教民主党、リベラル政党で現在は国防費の増額を主張している国民党・自由(社民党もウクライナ情勢への対処およびロシアへの警戒感や「大きな政府」の一環として国防費増額の意向を示している)が連立に加わるか、閣外協力に回る可能性もある。加えて中道・左派3党でも左翼党(旧共産党)は閣外協力にとどまる見通し。
いっぽう躍進したスウェーデン民主党への対策として移民問題への対処も迫られることになり、実際に他党の得票・議席があまり異動のないなか、保守・穏健統一党の票を食い漁る形で急伸した同党のオーケソン党首は「もはや誰も我われを無視することはむずかしくなった」と不気味なコメントをしている。環境党・緑も第2党に躍進した欧州議会選の勢いは喪失した。欧州議会選で1議席を獲得して注目されたフェミニスト・イニシアティヴ(社民系)は議席獲得の予想も一部にあったが、結果として3%強で4%阻止条項に拒まれ議会入りはならなかった。これらを総合して「寛容な環境・福祉社会」の新しいヴィジョンが求められているといえそうだ。また投票率は83%強に及び、スウェーデン有権者の政治への高い関心がうかがえる結果となった。

なお同時に首都ストックホルムをはじめとする県レベル自治体、および基礎自治体の選挙もいっせいに行われ、同様の方向性が出ている模様。特にストックホルムでは環境党・緑が都市型環境政党として強みをみせた。

国会総選挙の詳しい結果は次のとおり(カッコ内は前回比。開票率100%だが暫定集計による)。

社会民主労働者党 113(+1)
穏健統一党 84(-23)
スウェーデン民主党 49(+29)
環境党・緑 24(-1)
中央党 22(-1)
左翼党 21(+2)
国民党・自由 19(-5)
キリスト教民主党 17(-2)

スウェーデン社会民主労働者党 公式サイト
http://www.socialdemokraterna.se/

#社民党の正式名称は日本の報道では「社会民主労働党」とされることがほとんどですが、このサイトでは原語訳を尊重し「社会民主労働者党」とします。
2014-09-02

【ドイツ】ザクセン州議選で保守勝利も大連立か

8月31日、ドイツ東部ザクセン州(旧東独南部。州都ドレスデン)で州議会議員選挙(基本定数126、小選挙区併用型比例代表制)が行われた。その結果、保守のキリスト教民主同盟(CDU)が他党を引き離し勝利したものの過半数に及ばず、連立を組んできた自由民主党(FDP)が議席を失ったこともあって連立の先行きは不透明になっている。

CDUは得票を減らしながらも議席を上積みし、2位となった左翼党(Linke)を倍以上引き離したにもかかわらず、FDPが5%阻止条項を下回ったことにより与党は過半数割れした。このため議席を獲得した3位の社会民主党(SPD、社会主義インター加盟・進歩同盟中核政党)、欧州議会選で躍進が注目され今回は州議選初登場でいきなり4位となった「ドイツのための選択肢」(AfD)、5位の同盟90・緑の党(Grüne)から連立相手を選ぶことになるが、州議会で初議席となったAfDは保守系ながらも反オイロ(ユーロ)など政策に急進的すぎる面があり、緑の党は州の基幹産業である石炭についての政策がCDUと異なる。そのためSPDとの連立が浮上するが、同党も選挙戦を通じてCDUを激しく批判してきた経緯があり、連立形成は容易ではない。今後、続投が目されるティリヒ州首相の新連立形成が注目されるが、同州首相もAfDは連立対象外としており(また当然ながら左翼党も連立対象外であり)、その場合は緑の党よりも連邦レベルと同様、連立形成の政策ハードルを釣り上げた上でのSPDとの連立が有力視される。なお、極右ネオナチの国家民主党(NPD)は5%条項に0.05%及ばず、FDPと並んで全議席を失った。
ザクセン州は第二次大戦前にはSPDの金城湯池だったが、現在は保守(特にCDU)の金城湯池となっている。また東西ドイツ統一以降もSPDの議席は漸減し、左翼党(旧・民主社会党…旧東独共産党の流れを汲む)に得票を奪われる傾向にある。

詳しい選挙結果は次のとおり(カッコ内は前回比)。

キリスト教民主同盟 59(+1)
左翼党 27(-2)
社会民主党 18(+4)
ドイツのための選択肢 14(新党)
緑の党 8(-1)

ドイツ社会民主党ザクセン 公式サイト(ドイツ語)
http://www.spd-sachsen.de/
プロフィール

西形公一

Author:西形公一
もと「民社ゆーす」(旧民社党全国青年部系)事務局長。昔は漫画と法律のことなどをやっていましたが、その後にインド・ネパール・タイなど熱帯アジアの国ぐにとパシュミナを軸とする小口貿易やNPO、研究活動など人とのつながりなどの縁ができて、今に至っています。写真は夕刻のゴア(インド)にて。

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